1.正常眼圧緑内障の現状
1.有病率が高い正常眼圧緑内障
 
緑内障とは、もともと目の内部の水圧である眼圧が高いために視神経が圧迫されて萎縮し、そのために視機能が障害を受ける疾患とされていました。先進諸国では糖尿病に次いで失明原因の第2位にランクされていて、将来的には第1位になるであろうという予測もあります。
一方、正常眼圧緑内障は、緑内障のなかの一つのタイプに属しますが、眼圧が正常範囲(通常21mmHg以下)にあるにもかかわらず、眼圧が高い緑内障と同様の所見を呈する病態で、近年の疫学調査で有病率が非常に高いことが明らかになり注目されているものです。
〔図1〕は、わが国において1988年から1989年にかけて行われた共同調査結果ですが、正常眼圧緑内障は緑内障全体の半分以上を占め、40歳以上の約50人に1人、人数にして130万人が正常眼圧緑内障に罹患している可能性があるという結果が出ています。
一昨年から昨年にかけて岐阜県の多治見市で行われた疫学調査ではさらに正常眼圧緑内障の頻度が高く、全緑内障の9割近いという結果がでています。

タイプ別緑内障頻度

〔図1〕 タイプ別緑内障頻度
("Shiose Y. et al, Jpn J Ophthalmol 1991"をもとに作成)