1.正常眼圧緑内障の現状
4.点眼薬による眼圧下降療法

正常眼圧緑内障では視神経が萎縮してしまいますので、治療によって失われた視機能を回復することは基本的に不可能です。そのため、初期の段階で見つけて早い時期より治療を始めることが重要です。それによって、病気の進行を食い止めることができます。
正常眼圧緑内障の治療は、基本的には眼圧を下げることによって行われます。確かに正常眼圧緑内障では眼圧は正常範囲にあるのですが、正常眼圧とはいえ視神経乳頭部で視神経が圧迫されていることは確かですので、眼圧を下げることによって、そのストレスを低減し、病気の進行を抑制することができます。

上の図は欧米で行われた正常眼圧緑内障に対する眼圧下降効果の検討結果ですが、治療群では非治療群と比較して明らかに病気の進行が抑制されていることがわかります。
現在行われている正常眼圧緑内障の眼圧下降治療の多くは、点眼薬による眼圧下降療法です。眼圧下降点眼薬には多くの種類があり、それぞれの症例に合わせ、副作用などにも気をつけて適切な治療薬を選択する必要があります。また、これらの薬剤による治療が不十分で病気が進行してしまうような場合には、レーザー療法手術療法などが行われます。
レーザー療法も手術療法も顕微鏡下で確実に行われるため、術中の危険性はほとんどありませんが、レーザー療法は効果の確実性がやや低いこと、また効果があってもその効果が徐々に低下してくることがあるなどの欠点があります。また、手術療法では、術後の乱視や白内障、そして感染症の問題などがあります。したがって、これらの治療法を行う際には十分な配慮を必要とします。とはいえ、必要な場合には、速やかに決断し、手術を行うこともまた重要なことです。そのほか、視神経乳頭に対する循環改善や網膜神経節細胞に対する神経賦活などを期待した内服による治療を併用することもあります。