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│1999.8.15
第8回エネルギー教育全国会議レポート │
│ テーマ「エネルギー教育について」
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―「エネルギー教育の必要性」と「情報収集への取り組み」― │
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【エネルギー教育の必要性】
インターネットで、「エネルギー教育」を検索したところ、以下のような調査結果が報告されていた。
「エネルギー・原子力に関する意識調査」(結果)について
(平成9年12月 東北通商産業局)
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X.エネルギー教育の必要性(問7)
問7 エネルギー教育の必要性
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│ 青少年層へのエネルギー教育が必要と考える人は、全体の約9割と圧倒的 │
│に多く、中でも、すべての機会においてエネルギー教育を行うべきとする人 │
│が多いが、具体的な場としては、学校でのエネルギー教育実施に対する期待 │
│は大きい。
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1 青少年層へのエネルギー教育の必要性を感じている人は約9割と圧倒的に
多い。中でも「すべての機会においてエネルギー教育を行うべき(43.2%)」とする人が多いが、
具体的な場としては「学校教育の場で行うべき(31.5%)」と、学校でのエネルギー教育実施に対する
期待が高いことが伺える。
一方、「エネルギー教育は必要ない」と考える人はわずか0.4%に過ぎない。 2 「すべての
機会においてエネルギー教育を行うべき」と考える人は30代〜40代に高く、「学校教育の場で行う
べき」と考える人は20代男性、60代に高い。
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│*問7.
あなたは、次世代を担う青少年層のエネルギー教育として、小中高 │
│ 校等の学校教育や地域社会教育、家庭教育の場で、もっとエネルギ │
│ ー問題を取り上げるべきだと思いますか。 │
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│ 1.学校教育の場で行うべきだとは思う。 │
│ 2.子供会、町内会等の地域社会組織の中で教育すべきだと思う。
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│ 3.しつけ等と同様に家庭の中で考えて行くべきものだと思う。
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│ 4.以上すべての機会において、エネルギー教育を行うべきだと思う。 │
│ 5.どこの場においても行う必要はないと思う。 │
│ 6.わからない。
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(資料→http://www.tohoku.miti.go.jp/conts/ppud/isiki97/ss5_07.htmより)
この調査結果からも、学校教育において「エネルギー教育を受けること」は、もはや当然の権利として
要求されているのである。
小学校では、「総合的な学習」で「環境・エネルギー教育」を学習することとなる。
しかし、「エネルギー教育」は重要であるにも関わらず、あまりにも情報が不足している。あったとしても
「風評でかたられた感情論」が多い。
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│自由意見(意見・要望)の一部抜粋
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│(*前出調査結果の中から大島がさらに抜粋)
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│@【女性 40代 仙台市 主婦】 │
│ 原子力発電所の設置はなぜ、人口の少ない土地を選ぶのか? │
│ そんなに安全なら東京のド真ん中にたててほしい。その時東京の人は、賛 │
│成するか?反対するに決まっている。
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│ 少ない人口なら権力を行使できるという考え方がまちがっている。人は1 │
│人1人同じ命を受けて生かされている。絶対反対。原子力発電。絶対反対 │
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│A【男性 60代以上 福島市 自営業】 │
│ 新エネルギーの開発をもとめます。コスト高でもクリーンエネルギーを希 │
│望しております。
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│B【女性 60代以上 新潟市 不明】
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│ 私は87才ですが原子力発電は良いところと悪いところがあります。
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│ 一つだけの尊い人命を犠牲にしたり空気の汚染こんなことを考えると孫子 │
│の時代が心配になります。金より人命です。他の方法で発電力はあると思い │
│ます。絶対に事故は起らないと云う保証はありません。
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│C【男性 20代 柏崎市 学生】
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│ このアンケートにいっしょに入っていた紙に原子力発電は環境負荷が少な │
│いと書いてあったが、100万キロワットの標準的な原発を1年運転するのに30 │
│トンのウランがいる。そのウランを作るのに30万トンの原油がいる。これの │
│どこが負荷が少ないのか。それに原子炉を一年運転すると200キロのプルト │
│ニウムができる。これは40億の人類を2000回殺すことができる量だ。このプ │
│ルトニウムはどうなるのか?地下に埋めても解決しない。後生の人類にいら │
│ぬプレゼントになるだけだ。電力が不足しだしたら不足なりの住しを国家が │
│国民に強制すればいいのだ。そうでないと地球がもたなくなるだろう。原子 │
│力発電はやめよう!
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│D【男性 30代 刈羽村 会社員】
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│ エネルギーに対してみんな(特に若い人)有ってあたりまえになりつつあ
│
│ると思う。あたりまえという人は大都市の人ほどそう思っている様な気がす │
│る。私も東京から出て来たが、東京の人は原発の有る土地の人の不安はわか
│
│らないし、全く他人事と思っていると思う。たしかに火力等による公害等は
│
│有るが、いま以上に原発、石油備ちく等の地元ともうすこし差をつけても良
│
│いと思う。あともうすこしコマーシャル等によってエネルギーに対する意識
│をむかせる必要が有ると思う。
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│ 前記したが若い人ほどエネルギーに対して関心が無いと思うのでアンケー │
│ト内の問7のように教育していく必要が有ると思う。 │
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@は、よくある疑問である。
しかし、人口が少ないというだけで建設されるというわけではない。「強固な地盤の上にしか設置しない」「冷却に必要な水の確保」という安全性・機能性への考慮もなされているのである。
今後とも「被害者意識」を持たずに話し合いができるような「資料」を用意し、十分な説明をしていく必要がある。
Aは、「省エネ」と並んで期待が持たれている事柄である。
これも、太陽光発電だけを例に取ってみても、「日本中の屋根に太陽光発電装置を取り付けても、総エネルギーの3パーセントしかならないという事実」を知らないことから出てくる発言である。
新エネルギーの開発は、もちろん今後も続けていかれるだろうが、現時点ではそれに頼ることができないということを認識しなくてはならない。
Bも同じような発言だが、最後の「絶対に事故は起こらないという保証はない」という文にも、「事故」という現象をどのように解釈されているかが問題である。
また、どの程度の「放射線」が人体にとって危険なのか。それさえ知らずに「漏れたから危険!」とやみくもに騒ぎたてるのも問題である。
Cの発言について地球温暖化の防止で、日本が世界に約束した「6パーセントの二酸化炭素の削減のシュミレーション」を現実のものとするには、「社会そのもの」を改革していく必要がある。
「心がけ程度」では解決できないことをきちんと知った上で話し合いを進めていく必要がある。
Dでは「エネルギーはあって当たり前」という生活をきちんと振り返って見ることが重要である。
また、エネルギーがどのようにして作られているのかを知っておく必要もある。「原子爆弾」と「原子力発電」の違いがはっきりと言えるような教育をしていかなくてはならないのである。