それから一月たったある日のことです。さっきまで庭先で
遊んでいた千代ちゃんの弟、太郎の姿が見えなくなりまし
た。やっと、歩けるようになった太郎はよちよち歩いて、水
草川のほとりまで来ていたのです。水草川はこの二三日来
の雨で水かさをましゴーゴーと流れていました。気づいてお
っかけてきたお母さんの目の前で石につまずいた太郎は川に
落ちてしまいました。「たろう!太郎!だれか!」けたたまし
いお母さんの声に郷の人が集まってきました。「早くだれか!
たろう!太郎!」太郎はもがきながら岸から離れて浮いたり
沈んだりして流れていきます。「ああ!」お母さんはひっしで
川にとびこもうとして、お父さんにとめられています。