Characters

  

ランサムの物語に登場するキャラクターは、実在した人物がベースになっているようです。その上で、特に男性のキャラクターに関しては、自分自身を投影しているところも多く見受けられるようで、一方で女性のキャラクターは、自分の肉親や親交のあった家族の少女や女性を、ときにはひとりの人物として、ときにはミックスして作り上げたのではないか、と思われます。特に、ナンシイにはたくさんのモデルが投影されているようで、後に自分自身が所有することになった一艘の船に、Nancy blackettという名前まで命名しているところから察して、特にお気に入りのキャラクターだったに違いありません。また、彼の後妻Evgeniaもかなり強烈な個性を持っていて、ある部分はナンシイの、ある部分はスーザンのモデルに使われているのかもしれません。

キャラクター モデル
ジョン・ウォーカー 性別は違うが、ランサムとかつてつきあいのあったAltounyan家の長女Taqui.John Walkerという名前は、Bownessに住んでいた実在の船大工がヒントになっているのかも.また、Walkerは不幸にして破綻した初婚の相手の姓でもあるし、ランサムが使っていたノートがWalker's Looseleaf Transfer Caseという名前でもあった.また、ランサムの父Cyrilがランサム自身に望んでいた理想の息子を具現化したものかもしれない.まじめで注意深い少年として描かれているジョンだが、夜間航海をしてみたり、ヨットレースで一発勝負にでる、など意外に大胆な面を持っている.当初のプランではジョンの代わりにDickの名前が使われていた.残されたランサムのメモによると「ツバメ号とアマゾン号」に登場した時には12歳だった.
スーザン・ウォーカー Altounyan家の次女Susie.航海士という役どころは、ランサムの妻Evgeniaがモデルかも.スーザン自体、ルールは守るもの、というランサム自身の主義が反映された存在のように見える.ただ、Altounyan家のSusieは、物語りに描かれているスーザンのようではなかったみたいで、「物語のSusieは出来過ぎ」、との感想を他のきょうだいたちは述べている.メモによれば、「ツバメ号とアマゾン号」では10歳.
ティティ・ウォーカー Altounyan家の三女Titty、ランサムの妹Joyceなど.特にAltounyan家の三女Tittyは、物語中のティティとよく似ていた、と言われる.どの物語でも、ティティは、感性豊かな性格の持ち主として描かれており、最後の作品である「シロクマ号となぞの鳥」でも、エンディングは、ディックとともに彼女だった.なんでも遊びにしてしまうティティの存在はランサムが創り出したキャラクターの中でもひときわ輝いているが、ちょっと過ぎるところがあるかも.メモでは「ツバメ号とアマゾン号」のときには9歳.
ロジャ・ウォーカー Altounyan家の長男Roger.ランサムの弟Geoffrey.エンジンが好きでいつもお腹をすかせている.なんといっても「ツバメ号とアマゾン号」の冒頭でおかあさんのもとへ間切っていく姿が印象的.また、ラグーンにタコが生息している、と思い込んでこわがったロジャだが、「シロクマ号となぞの鳥」では、ヘブリデス諸島に住むヤンに強い敵愾心を抱く。本の中で子供としての成長が一番見られるのは、案外このロジャかも.メモでは7歳.
ナンシイ・ブラケット Altounyan家の長女Taqui.GeorgieとPaulineのRawdon Smith姉妹.W.G.Collingwoodの娘DoraとBarbara.W.G.Collingwoodの長男Robinの娘Ruth.ランサムの少年時代の友人Ric Eddisonなどたくさんの人物がモデルになっているらしい.ランサムが創り上げた子供たちの中で一番強烈なキャラクター.しかし、物語中、ナンシイ本人の心象を顕わした箇所は意外に少なく、シリーズ全体を通して見ると強い個性を持った名脇役のような感じ.読者は、まず、そのナンシイ言葉に圧倒される.原書の雰囲気を壊さずによくあの邦訳が出来たものと感心します.ランサムメモでは13歳.
ペギイ・ブラケット GeorgieとPaulineのRawdon Smith姉妹.ランサム関連の書籍では、単にナンシイの引き立て役として創造されたキャラクター、との記述が多いが、「長い冬休み」では、おたふく風邪のナンシイに代わってみんなをまとめようと努力したし、「シロクマ号となぞの鳥」では、おとり隊のリーダー的存在となって、ロジャの逃亡に慌てるスーザンを説き伏せた.アヒルの鳴き声や網すき針で網を編むことが得意、誰に何を言われようが腹をたてない、かみなりがダメ、針で自分の指をつつけない、など多様な面を結構持ち合わせている.メモでは12歳でジョンと同い年の設定.
ディック・カラム ランサム自身.眼鏡をかけていることや博物学、天文学、化学などに興味を覚えていたこと、そして、いつも手帳を持っていたことなど共通点が多い.ランサムは年が変わると必ず新しい手帳をいつもポケットに入れていた.デイックという名前のヒントは、ランサムがエッセイを書いていたManchester Guardianの編集者の息子で親友だったTed Scottの息子DickとLow Ludderburnに住んでいた頃の釣り友達Colonel Kelsallの息子Dickから.
ドロシア・カラム 名前は、W.G.Collingwoodの娘Dora(Dorothy)から.ランサムの妹Joyceは、ノートに物語をよく書いていたそうなので、ここらへんももの書きとしてのドットのヒントになっているかもしれない.また、もの書き、というのは、フリント船長の特徴でもあるので、ランサムはこのドットにも自分を投影していると言える.こうしてみると、Dきょうだい、という存在はまさにランサム自身、と言うことができるのではないでしょうか.
フリント船長
(ジェイムズ・ターナー)
ランサム自身.屋形船に住む、という設定は、ランサムの時代にウィンダミア湖の屋形船Esperanceの所有者だったSir Samuel Scottからヒントを得たもの.こんなおじさんがいたら本当に楽しいに違いない、と思わせるキャラクター.「ツバメ号とアマゾン号」に登場したときには、既に、はげ頭で太った中年男性のように描かれているが、頭の方はともかく、ランサム自身はこの頃そんなに太ってはいなかったはずで、これは将来の自分自身を予言したものだったのかもしれない.
ツバメ号のおとうさん
(テッド・ウォーカー)
ランサムの実父Cyril.名前の由来は、親友だったTed Scottから.Ted Scottは、息子のDickとウィンダミア湖を帆走中に不慮の事故死を遂げた.Ted Scottに帆走の面白さを教えたのは、自分だとしてランサムは彼の死にショックを受け、責任の一旦は自分にある、と自分自身を責めた.恐らく、ランサムの人生の中で最も衝撃の大きい出来事のひとつだった、と思われる.しかし、「海に出るつもりじゃなかった」の中でオランダからの帰路、ジョンに代わって舵を取り、夜中に大きな声で歌うテッドのさまなどは、ランサム自身を彷彿させる.「オボレロノロマハノロマデナケレバオボレナイ」とか「チャンスをつかめ.そうすれば死児の齢を数えなくてすむ.」などの名言有り.
ツバメ号のおかあさん
(メアリ・ウォーカー)
ランサム自身の実母Edith.Edithはオーストラリアで生まれた.ランサムが小さい頃に彼女はランサムをはじめとする自分の子供たちによく本を読んで聞かせたが、彼女自身楽しいと思わなかった本は、決して子供たちに読んで聞かせることはなかった.
アマゾン号のおかあさん
(モリス・ブラケット)
W.G.Collingwoodの妻Edith Mary?彼女は晩年はモリーと呼ばれていた.
ティモシイ
(くずれソフト)
Dora Collingwoodの夫で鉱山師だったOscar Gnosspeelius.ランサムは「ツバメ号の伝書バト」を執筆するにあたり、彼からたくさんの情報を得た。道で人に出会ったらこそこそ逃げ出す、という癖(?)は、W.G.Collingwoodの師だったJohn Ruskinの行動がヒントになっていると思われる.
かわらやボブ Dora Collingwoodの夫Oscar Gnosspeeliusが雇った鉱夫John Willie Shaw.John Willie Shawは、1933年から1938年までHorse Crage Levelでスレートを掘り出す仕事に携わっていた。このHorse Crage Levelは、「ツバメ号の伝書バト」では、オールドレベルと呼ばれている.1990年から、このHorse Crage Levelは週末にフロアタイルの材料を掘り出すために再開されている.

Swallows, Amazons & D's For Ever !