The Houses & The Places

The Lake in The North

湖水地方のランサムゆかりの地をまとめてみました。(五十音順)マップとともにご覧いただければ位置関係がよくおわかりになると思います。


熱心なランサムファンの皆さんであれば既にご存知でしょうが、「ツバメ号とアマゾン号」「ツバメの谷」「長い冬休み」「ツバメ号の伝書バト」「スカラブ号の夏休み」の舞台であるイングランド北部の湖 <The Lake in The North>は、実在する湖ではありません。ランサムが少年時代に夏休みを過ごしたコニストン湖と湖水地方最大の湖ウィンダミア湖とが合体して出来た想像上の湖です。
 これに関して、かつてランサムは、知人の女性に、一方の岸はウィンダミア湖から、もう一方はコニストン湖から拝借したものだと説明したことがありましたが、実際にはこの想像上の湖や周辺のロケーションはもっと複雑です。ここでは手元にある資料をまとめてみました。

アマゾン川
コニストン湖南端のRiver Crakeがモデルです.ちなみに礁湖、Octpus Lagoonは、このRiver Crakeから少し行ったところのAllan Tarnです.しかし、アマゾン川が湖に流れ込んでいるのに対し、River Crakeは、逆にコニストン湖から流れ出ています.そして「ツバメ号の伝書バト」の中で、ハイトップスまで続くアマゾン川の上流として描かれているのは、地理的には反対のコニストン湖北端へ流れ込んでいるYewdale Beckのさまを描いたもののようです.

犬小屋

原書では、文字どおりThe Dogs' Home.ランサムが住んでいたコニストン湖東岸にあるThe Healdの北の森の中に現存しています。そこに辿り着くまでの詳しい道順についてはここでは述べませんが、In The Footsteps of the Swallows & Amazonsなどの本に書かれている道順を忠実に辿ると必ず探し出すことができるとのこと.名前の由来はランサムが毎年使っていた日記の最後にある広告欄にThe Battersea Dog's Homeとあったことからきているらしい.一時期、年老いた浮浪者がここを占拠していたのですが、今はTARSの手によって奇麗になっているはずです.

ウの島

ウィンダミア湖のSilver Holme.ただし、今は、ランサムの描写と違い、たくさんの木々が生い茂って、石や岩がごつごつしている島、という印象はないようです.

カンチェンジュンガ

The Old Man of Conistonのこと.ランサムの時代には、カンチェンジュンガへの登頂は世間的にも注目を浴びていたのでこの名前をつけたのでしょう.なお、本物のカンチェンジュンガへの初登頂に成功したのは、ずっと後の1955年になってからのことでした.

スウェンソン農場

コニストン湖南端の東岸にあるSwainson's Farm.ランサムは、7歳頃から12歳頃までの毎年の夏休みをここで過ごしていました.物語のスウェンソン農場と比べると、湖との位置関係は全く違いますし、農場の様子も異なっていますので、その名前とかランサムの少年時代の思い出(「ズボン破りの坂」など)を、「ツバメの谷」の中で全く違うロケーションにして登場させたのではないか、と考えられます.

ストリックランド駅

「ツバメ号の伝書バト」の冒頭に出てくる架空の駅.Oxenholm駅のこと、らしいです.「ツバメ号の伝書バト」の挿し絵にあるようにOxenholm駅の壁は、たいへん高くて特徴的だから疑いはないそうです.

ダリエン岬

ウィンダミア湖の北端にあるRiver Rothayの河口にあるGale Naze Crag説と、もっと北の方にある別な湖Derwent Water東岸のFriar's Crag説とがあります.前者は、ウィンダミア湖とコニストン湖の中ではそこらあたりにしか「ダリエン」のような崖はない、ということから言われ、後者は、ランサムが挿し絵画家Clifford Webbに送った絵葉書の絵面がこのFriar's Cragの写真だった、ことが根拠となっています.個人的には、Derwent Waterという場所はランサムにとって馴染みがあったところ、というには多少無理があるかな、というような気がします.想像を逞しくすれば、ここの絵葉書を見たランサムが、Webbに対し、「ダリエンというのは、こんな感じだよ.」と説明するために送ったのかもしれません.なにしろ、Swallows and Amazonsに挿し絵が描かれたのは、初版が出てから1年後のことで、しかもCape社から依頼を受けたClifford Webbは、湖水地方のことをほとんど知らなかった、と言います.ランサムは彼に物語の場所を見せるため、あちこちと連れていったのだそうです.ダリエンのヒントとなったのは、湖水地方のどこかというよりは、Swallows and Amazonsを書き上げる何年か前にバルト海のRevalの岩の上から眺めたThe Island of Nargonが目に焼き付いていたからかもしれません.このときのことをランサムは、「この岩上に立って湾から外海を見渡した男なら、自分の船を一隻手に入れるまでは心から幸せになれないと思う.」と著し、いずれは海上からこの岩を眺めてやるのだ、と心に誓ったそうです.このときのランサムの心境は、お父さんからの電報を待ちながらダリエンから島を眺めていたウォーカーきょうだいのそれと同じだったのでしょうか.

バメの谷

最も諸説紛々としているのがこれで、正確な場所はどうやら特定が困難なようです.とはいえ、コニストン湖西岸のLong Scarの近辺には、いくつかの候補が存在しています.中でもOxen Houseから約1.5km南へ下ったところにある渓流を1km弱ほどさか登って辿り着く谷は、かなり物語とフィットしているところのようです.ここには、谷の上流と下流に1つずつ小さな滝があります.この実在する谷の様子は、ランサムの描いた挿し絵にはあまりよく似ていないようですが、ランサム自身が挿し絵を描いたのは、「ツバメの谷」の初版が出てから5年も後のことで、その初版はダリエン岬の項に書いたとおり、Clifford Webbが描いているのですが、SwalloedaleでWebbが描いた谷は、この谷とよく似ていると言われます.ここから西に1.5kmほど行くと、マス湖(Beacon Tarn)にたどり着くことができます.ただ、この谷やBeacon Tarnは実際には南北の方向に存在しているので、ランサムは、物語の中でこれを直角(東西)に置き換えたものと考えられます.この谷の北側には「見張り塔」もちゃんと存在しています.もう一つの可能性の高い「ツバメの谷」は、コニストンから北西に20kmほど行ったところにあるMiterdaleにあると言われます.この場合は、「見張り塔」は、谷の南側にあるBoat Howということになりますし、マス湖は、北東すぐのところにあるBurnmmor Tarnということになります.ただし、ここはランサムの描いた挿し絵をもとに後から探し出したもので、下流の方の滝はありませんし、谷自体、少々大きすぎるみたいです.この説の一番の問題点は、Miterdaleという場所が本当にランサムのLakelandだったか、という点にあります.

ディクソン農場

ランサムが若い頃に滞在したことのあるコニストン村の北部のLow Yewdale Farm.ランサムは、天気が良いとYewdale Beckの近くの谷によくキャンプに出かけました.その時使っていたテントは、King's Herdsman社のもので、当時としては、ヘビーデューティなものでした.

ハイトップス
The Old Man of Conistonの北北東にあるWeatherlamから東に張り出した尾根Furness Fellの麓をランサムはHigh Toppsと呼びました.これに該当するのは、Coniston Moorです.なお、「ツバメ号の伝書バト」に出てくる地形は、「ツバメの谷」に登場したカンチェンジュンガなどとの位置関係の整合性を保つため、The Old Man of Conistonを中心に実在の地理をシンメトリーにしています.また、Coniston Moor一帯は、その昔採掘のために深く垂直に差し込まれたシャフトや先がどうなっているかわからないトンネルがいたるところにあり、湖水地方の中でも最も危険なところのひとつ、なのだそうです.ただし、ここらあたりの坑道については、詳細なガイドブックがいくつか出版されていて、それらを参考にすると安心して(?)ハイトップスのモデルとなった場所を歩き回ることが出来るかも.なお、ガイドブックの中にはランサムとJohn Wille Showの関係について書かれているものもあります.

ハイムーア
これもいくつか可能性があるところです.Beacon Tarnの北西Fisher HighやThe Old Man of Conistonの南側のLittle Arrow Moorであるとか言われています.コニストン湖西岸にあるTorverの近辺には、ハイムーアらしき荒野がたくさんありそうです.

ハリハウ

熱烈なファンならもうご存知ですね.コニストン湖東岸にあるHigh Bank Ground Farmがモデルです.「ツバメ号とアマゾン号」のドラフトではハリハウではなく、Bank Groundとランサムは書いていました.もともとの名前Holly Howeはコニストン村の北にある大きな家から取ったものです.これは今ではユースホステルとなっています.

馬蹄湾

「ツバメ号とアマゾン号」に出てくる馬蹄湾は、ウィンダミア湖西岸近くにあるGrass Holmの南の湾Lazy Bay.木々に岸を囲まれているため、非常に見つけにくい.「ツバメの谷」の馬蹄湾は、コニストン湖西岸の南端近くの湾のひとつをモデルにしたもの、なのだそうです.

ベックフット

いろいろな見解があります.物語の中では、大きくて灰色の石造りの家で、川まで芝生がなだらかに続いていて、芝生が川に落ち込むあたりには(骸骨と髑髏を描いた)ボートハウスがある、ということになっています.家の形から言えば、コニストン湖のTent Lodgeが第一候補ですが、残念ながら、ここの近くに川はありません.もちろん、ランサムが青年期に頻繁に訪れたLaneheadも有力な候補ですが、家の形や色が少々異なるようです.コニストン湖西岸に存在し、Peel Islandの西岸から見るとちょうど向かい側の岸にあるOxen Houseが、物理的なベックフットのモデルではないか、という説や、もう少し南へ下ったところのBrown Howeなどがそうだ、とする説など今一つ絞り切れません.ボートハウスは、Swaison's Farmのものをイメージしているのでは、という説もあります.なお、名前に関しては、コニストンの北にあるEskdaleの近くに同じ名前の地域が実在します.

北極

ランサムファンにとっては悩みの種のひとつですが、「北極」らしい建築物は、どうやら現存してはいないようです.ランサムの時代には「北極」のようなサマーハウスは、そんなに珍しいものではなかったようですが、ウィンダミア湖北端にあるBorrans Parkの脇の道路のすぐ上の所にあったWanlass Howeの温室が「北極」の建物に似ていた、と言われています.ただ、少年の頃、ランサムと親しかったDick Kelsalは、1930年頃に物語の中で「北極」があったとされる場所でサマーハウスを見たことがある、と言っています.そして、そこは現在、Borrans Parkになっていて、近年、TARSのメンバーが「北極」らしい建造物があったことを「水脈占い」によって探し出し、その建物の張り出し窓などの痕跡も見つけた、ということです.そこには現在、彼らの手によって有名な「北極のプレート」が埋め込んであります.しかし、この辺りはローマ時代の遺跡がいたるところにあるうえ、ここ100年くらいは、その場所に建築物はなかったことがわかっており、これが本当に「北極」の場所であったものか、少々疑問の残るところではあります.Roger Wardale氏は、「長い冬休み」の挿絵などからこの「北極」は、やや小高いところにあったのでは、とする見解を述べ、「北極」=「Wanlass Howeの温室」説を唱えています.ただし、ランサムは実在する風景や場所を挿し絵のうえでは忠実に描いてはいないことも多いので、これも決定的なものとは言えないようです.(その点、Clifford Webbは船の描写はともかく、風景などは忠実に描いていて、本当の湖水地方の雰囲気が伝わってくるのは、むしろこちらの方です.)

マス湖

前述のとおり、「ツバメの谷」=コニストン湖西岸にあるとした場合は、Blawith CommonにあるBeacon Tarnがマス湖ということになります.しかし、このBeacon Tarnからは、物語のようにツバメの谷へと続く渓流は流れ出ていません.

ヤマネコ島

コニストン湖のPeel Islandとウィンダミア湖のBlake Holmが合体したもの.主体となっているのは、もちろん、秘密の港が存在するPeel Islandの方です.今では、National Trustの所有となっていて、キャンプやたき火は禁止されています.

屋形船湾

フリント船長の屋形船は、ウィンダミア湖に係留されていたEsperanceという名前の屋形船とコニストン湖を行き来するGondolaという蒸気船を合体して創られました.一方のモデルとなったEsperanceは、1930年代にはウィンダミア湖東岸のCockshot Pointの南にある湾、Ramp Holmに係留されていました.このEsperance、もともとは当時のFurnessの資本家、H.W.Schneiderのための船として1869年に建造されたものですが、現在はWindermere Steamboat Museumで見ることができます.1860年頃に建造されたGondolaは、修理を重ねて、驚いたことに今でもコニストン湖で周遊のために使われています.

リオ

ウィンダミア湖の畔、Bowness.名前の由来は、ランサムの時代でもシーズン中は、大勢の人が押し掛けてきて、まるでリオのカーニバルのようだったから、だそうです.

ロング島

Bowness湾沖のBelle Island.Bownessに向いた岸の近くには、ランサムが物語中で付けた名前「めんどり」「ひよこ」の大きな岩がありますが、これは実際には、それぞれCurlew Crag, Hartley Wifeという名前です.本当のHen RockとChichen Rockは、もう少し南に下ったところにあって、Ramp Holme の北側にあります.

The Maps

Swallows, Amazons & D's For Ever !