ヘブリデス諸島

ところで、このシロクマ号となぞの鳥は、どこを舞台にしているのでしょう?「作者のまえがき」にもあるように、ディックが大オオハムを発見した場所は、読者にわからないようにランサムによってあらゆる努力がはらわれ、本文を読んだ限りではヘブリデス諸島のどこかということはわかるものの、正確な場所までは全く検討がつきません。
初めて読んだときは、見開きのヘブリデス諸島の地図を凝視しつつ、恐らくルイス島の東岸のどこかだろう、と思っていたのですが、実際は違っていました。

ランサムは、このシロクマ号となぞの鳥でも、北部の湖と同様に現実の場所をモデルにしつつも、その位置は異なったロケーションに置き換えたのです。ランサムは、1945年5月と翌年7月にルイス島北西部の大西洋に面したUIG Lodgeへ「シロクマ号となぞの鳥」を書くための情報収集に訪れました。このUIG近辺のみならず、ルイス島は、大小の湖が星の数ほどもあるところで、ランサムがどの湖をモデルに使ったのかを特定することは困難なようですが、船体掃除湾のモデルとなったのは、どうもUIG BAYというところのようです。物語によると、この船体掃除湾の入り口付近からは、こぶのようにつきだしたヘッド岬が南の方角に見え、船体掃除湾から北西の風を受けた場合は、そこまで追い風となる、とありますが、このこぶのような岬とは、実際は、ルイス島東岸のミンチ海峡に面して突き出ているEYE PENINSULAと呼ばれる岬のことです。また、シロクマ号が、夜にテロダクティル号を出し抜いた港は、STORNOWAYと言い、ルイス島最大の港町のことでした。物語を読む限りでは、前述したようにルイス島最北端の東岸あたりに問題の湖や湾が存在するかのように読みとれますが、ランサムがイメージしていたのは、全く別な場所に存在するUIGというところでした。ところが、このUIGというところ、交通の便は、あまりよろしくないところのようで、フェリーが到着するSTORNOWAYからはバスで約100分くらいはかかるところなのだそうです。

また、シロクマ号(Sea Bear)そのものについてもモデルがありました。ランサムが好んでいた本の一つに、Erling Tambsという作家が書いたThe Cruise of Teddyというのがあって、そのTeddyという船がシロクマ号のモデルなのだそうです。

そして、この「シロクマ号となぞの鳥」は、MYLES NORTHという人に捧げられています。この人物は、東アフリカの植民地事務所で働いていた人で、ランサムの熱心なファンでもあり、また釣り仲間でもあったような人でしたが、鳥の研究こそが主たる趣味でもありました。。彼は、フライ・フィッシングのときに使う、ギニアフクロウの羽などをしばしばランサムに送ったのだそうです。そして、その彼こそは「シロクマ号となぞの鳥」のヒントをランサムに与えた人物だったのです。
NORTHは、ランサムに「鳥に関して君はまだ書き足りないことがあるのじゃないか?」と手紙を送り、鳥を主人公にして、自分で考えた物語の骨子をランサムに見せました。その中では、驚いたことに、ピーター・ダックとビルがテロダクティル号の乗組員として登場していたりしましたが、ゲール人たちのことについては何もふれられていませんでした。さすがにランサムは、作家としての厳しいものの見方から、骨子の重要な部分については、NO!と言ったのですが、大オオハムの巣づくりの時期とか卵を吸い出す方法などに関しては、両者の間でさかんに手紙のやりとりが行われたようです。しかし、思うように進まぬ「シロクマ号となぞの鳥」の執筆状況について、ランサムはしばしば愚痴をこぼしました。「年を取りすぎてしまった。」と。このような努力の末に4年もの歳月をかけて「シロクマ号となぞの鳥」は完成したのです。

その後もNORTHは、おせっかいにも、自分で考えた新しい物語の骨子をランサムに送ったりしました。それは、オオバンクラブのみんなが、ジョージ・オードンとケニア(!)で再び戦う、というもののようでしたが、結局、ランサムはこれにはのせられませんでした。

そして、ツバメたちもアマゾン海賊もDきょうだいもそしてフリント船長も、ヘブリデス諸島の海の彼方に消え去り、私たちの前に姿を現すことは二度とありませんでした。
子供たちは、本当に、彼ら自身の国(The Country of Their Own)へ帰っていったのです。












































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