春の月夜の僕と君



短いんですけど楽しんでいただければ光栄です


  そっと空を見上げると、そこにはいろんな色の星達が綺麗にきらめいている。

 少し、強い風が吹いて、公園に咲き乱れる桜の花びらが広がるように舞う。

そして、僕の隣りで眠る彼女の長い髪にに、一枚の花びらが、雪のようにふわりと落ちた。

「やれやれ……」

 僕は彼女の髪からその花びらをつまんで、ぴんと弾いた。

「ん……」

 彼女が小さくうめく。起こしてしまったかと思ったがそうではないらしく、

その無防備な寝顔をこちらにむける。

 僕は一人、赤面した。

 ……あまりそういうことをしないで欲しい。

 僕は少し頭を抱える。

「やれやれ……」

 自分を落ち着かせるために、僕はもう一度呟いた。

 ふと辺りを見ると、桜吹雪はもう止んでいた。風も穏やかになっている。

「ん?」

 そこで何気なく気がついた。彼女が僕のTシャツの袖を握っていることに。

まるでどこにもいかせまいとするように、ぎゅっと握っていることに。

 僕は……彼女をとても愛しく思った。

「…もうちょっとだけ、こうしてるかな」

 彼女の髪をそっと撫でながら、僕は一人呟いた。

 春風が淡く漂う夜のことだった……






小説のお部屋の入口へ戻る

遊戯室の入口へ戻る

ホームへ戻る