世界の歴史
このルールにおける世界の歴史です。
偉大なる歴史家であり冒険家・グレムンの記述より
■この世界の誕生
『それ』は最初からそこにいたといわれる。『それ』は最初から確固たる意志を持ち生きていたのだと。
『それ』は最初から終わっていたというそこにいたのだった。
『それ』は思った。
――この世界は退屈だ。
と。
そして『それ』は願った。
すなわち、この世界『アクラス』の存在を。
■創世記
かくして『アクラス』は誕生した。そして今現在までもその生は続いている。
この世界に初め在ったのは「大地」だけであったという。
大地はどこまでも続き、様々な形をとった。時には平坦で、時にはへこみまたは突き出したり……。だが、
『それ』はまだ物足りなかった。
世界には次に、「空」と「海」が作り出された。
これにより世界は多様に彩られたのである。
『それ』は一時その世界に満足したが、しばらくして飽きたらなくなったようである。
伝承によると、その次には「生命」が産み出された。
ここより原始的な動植物が生まれることになる。
■神と人と
動植物が進化し、様々なものがこの世界に生まれた。
ある時、その動植物の様子を見て『それ』は退屈しのぎになる遊戯を考え出した。
つまり、「たくさんの、自分によく似た存在をアクラスに置くとどうなるのか?」というものだった。
そして『それ』は自分を『神』と呼び、自分に似た存在を『人間』と呼んで大地におろしたのだった。
そして、人間の時代が始まった。
■最初の人間・神人(かみびと)
最初に神によって産み出されたと云われる人間の名を「マラナ」といった。
マラナは性別はなく、最も神に近い能力を持つと云われている。
マラナは神と共に人間を造った。
マラナの次に産まれた人間の男を「ガズー」、さらにその次の女を「フィル・フィリア」といった。
ガズーとフィル・フィリアは男女で、夫婦として定め付けられて産まれた。
ガズーは神から「物質」と「秩序」を産む力を与えられた。精悍で誠実な男であったといわれる。
フィル・フィリアは「精神」と「混乱」を産む力を与えられた。優しいが掴み所のない女であったという。
そして、この男女は二人で一つの存在となり、その存在は「誕生」をもたらした。
二人より誕生した子は三人。
一人目は「調停」と「音」を産む力を持つ長男「エドル」。法と音楽の祖である静かな男であったらしい。
二人目は「不実」と「時」を産む力を持つ次男「ダート」。気に食わぬ者は時の裁きを与えたと良い、マラ
ナを一度殺したのはダートであるという説は有力である。
最後は「破壊」と「再生」を行なう力を持つ長女「セレント」。マラナが死した後、神の命によりマラナを
生き返らせたという。
ここで、マラナは一旦男の姿をとりセレントと契った。後々マラナが男の姿で描かれることが多いのはこの
事が理由であろう。
そしてセレントが産み落としたのは四つ子。すなわち「シャムシャ」「コ・ローグン」「テド」「アルナ」
の四人である。
長女シャムシャは「空」を統治することとなった。寡黙な女性で、エドルと契りを交わすこととなる人間で
ある。
長男コ・ローグンは「大地」を統治することとなった。
次男テドは「海」を統治することとなった。
コ・ローグンとテドは仲が悪く、幾度となく殺し合い、これより「闘争」は産まれる。
ただ、次女アルナについて詳しく記されている文献は見当たらない。
あまりの美しさに神がめとったという説もある。だが初めて神に仇なした人間だともいう。神に等しい力を
持っていたとも云われるし、何の力もなかったという説も在る。
いずれにせよ、それを裏付ける資料は何一つない。
また最初の夫婦より産まれたのが四つ子であるとか、エドル達兄弟がマラナと、実は最初の夫婦の次女であ
ったアルナの子ではないかという説があることも付け加えておく。
そして子は増え、持つ力や統治する領域として「光」や「闇」、「火」「水」「風」「土」に「理性」や
「欲望」など、枝分かれをしつつ人間は増えた。
ここまでの人間を今の人間と区別するため、神より力を与えられた神の如き者達として
「神人(かみびと)」
と呼ぶ。
また、ここまでの時代を「創世記時代」と呼ぶ
■現在の人間
現在アクラスに存在する我々のような非力な人間こそを一般に「人間」と呼ぶ。
いつしか神と神人達はアクラスとは違う世界を新たに産み出し、そこへ渡ったという。
その世界から人間(神人を指す)のいなくなったアクラスに、今度はなんの力も持たない人間を産み出し始
めた。
また、神や神人の住む世界を「神界」と呼ぶ。
人間は神や神人の助けをかり、しだいに進化していった。
人間は神と神人を祭るようになり、それらの神格化も強まった。
自分を信仰する人間が増えるに従い、神は魂と賛美の力によりその力を増し、安定期が続いた。
■闇の神人と暗黒の時代
今から4562年前に「レノグロリストスの反逆」が起こった。
「闇」と「欲望」を支配する神人、「レノグロリストス」が神に反乱を起こしたのだ。
どこまでも続く飽くなき欲望がレノグロリストスを突き動かした。
自らが神になるという目的のためにその牙をむいた。
手始めにレノグロリストスは人間達全ての欲望の芽の成長を助長した。
そして、人間達の混乱期、「白い動乱時代」が始まった。
この時代の記述は殆ど残っていない――口述でのみ残されている――ためにそう呼ばれる。
確実に話が統一されているのは、この時代が親兄弟ですらも血を流し争うような、あまりにも凄惨な時代で
あったこと。
そして、レノグロリストスの忠実なる僕にこの時代に全世界を統一した「クレール・ホーマン」という王が
いたことだ。
レノグロリストスはホーマン及び自分に従う者達に、神を倒した暁には新たな神人としての力を与えること
を約束した。
ホーマンはレノグロリストスの命に従い、他の人間にこの欲望の神人を信仰させた。
人の心にその名を刻みつけることで神や神人はその力を増すことが出来るからだ。
そしてレノグロリストスは神に劣らぬ力をつけ、人に在らざるもの「悪魔」や「魔獣」を産み出した。
それらは神人に匹敵するほどの力を持ち、数人の神人はこの魔の存在によって抹殺されたのだとされている。
また、自分を崇めるものが減り、神は自分の力を失いはじめた。
神とレノグロリストスとの紛争は1000年にも及んだという伝承がある。
ある時、レノグロリストスの力に支配されない人間が現れた。
永遠の歌い人「リア・ノール」という少女だ。
彼女は動乱の時代にただ歌い続けたという。
ある時は名も無き街の街角で。ある時は寂れた平原で。ある時は戦のある荒野で。
彼女がかつて訪れたとされる場所は世界各地にある。
彼女はただ歌うだけだった。
それ以外何もしていなかった。
だが、彼女の名は現在にも名を残す。
何故なら、彼女の歌は人の心を浄化したからだ。
欲望を満たすことに凝り固まった人間の心を、彼女の歌は奇麗に浄化したのだ。
足手まといの子供を殺そうとしていた母親はその手をおき柔らかな笑顔を子供に見せた。
意味も無い暴力を見た通りがかりの人間はその暴力に怒った。
憎み合い、殺し合いをしていた兵士達は武器を捨て涙した。
金だけを愛し集めていた商人はその金を貧しい人々に分け与えた。
哀れな死人はその生を蘇らせ、荒れ果てた広野に草木が茂った。
そして、彼女はこう人々に説いた。
「神様がいらっしゃる限り、私はあなた方の心に歌い続けることでしょう。私は神様のために歌っているだけ
なのですから」
と。
そして、人々は共に歌った。
その人の心に何かを投げかけるような不思議な歌を。
人を愛することを、信じることを、そして理性を働かせることを思い出させてくれた歌を。
神を称える讃歌を。
そして、神は力を取り戻した。
勝負はその瞬間についた。
神が力を取り戻すに連れ、レノグロリストスの力は徐々に失われていったからである。
こうして、レノグロリストスの反逆は白い動乱期と共に幕を閉じた。
■呪と紋
今、我々は「魔術」と「法術」という力を一般的に使う。
魔術とは、神人達の細分化した力を集結し、その力を復元させる術式である。
その行使には飽くなき勉学と探求を要し、魔術を使うものは大抵博識であるのはそのためだ。
かつて魔術は、その攻撃的な特性に優れていることから、力ある言葉、「呪」と呼ばれていた。
また、法術とは、神に祈りを捧げ神界からその力を借りるものである。
法術は魔術ほどの勉学は要しないものの、神と神人を敬う信仰心を必要とする。もし信仰心なしに法術を使
っても、神はその偉大なる力を貸したりしない。
かつて法術は、術者がよくホーリーシンボルを掲げることから「紋」と呼ばれていた。
そして、今これらの術は昔の名から「呪紋」、もしくは今の名から「魔法」と呼ばれる。
また、この世にはこれらの力を極め、あることに特化した力をもつ術者もいる。
例えば、「時術」という、ダートの力を研究し行使する術士、果てを見るもの「レイコス・アルモンド」や、
リア・ノールの歌の秘密を研究し続け「秘術」とよばれる術を編み出した、眠れる聖女「アヤメの姫」など
がそうである。
他にもこのような術者はいるようだが、詳しくはわからない。
■大陸
この世界には、知られているだけで三種の大陸が存在している。
すなわち、「中央大陸」「東方大陸」「西方大陸」である。
これら三種の大陸は、異なる人種が異なる文化を発展させている。
それについて説明していこう。
■中央大陸
三大陸の中で最大の大きさを持つ大陸であり、その人口もまた最大である。
さまざまな人種が混在するが、金髪や銀髪、もしくは茶髪で碧眼の人間が多い。またエルフやドワーフ等、
他の種族も多く存在している。
この大陸で最大の王国を「アリア王国」という。
その成立は3000年前に遡るとされており、現存最古の王国である。
初代国王は賢王と名高い「カリオン1世」である。彼は親政を行い、中央大陸統一と議会政治の開始を初め
様々な功績を残している。また、西方大陸との戦いを和解により終わらせ、国民の反乱を血を一滴も流さず
に鎮圧した「何もない日」も有名である。
また、彼の弟「レイガン・アリア」もまた忘れてはならない。
レノグロリストスの反逆の後も世界各地に現れる魔物や悪魔を、武者修行と称し倒して回った人物である。
レイガンは魔物達のことや、もしくはそれ以外で困っている人を見ると、その日の食事や寝床を引き替え
にその事件の解決をした。
依頼した人間が名を聞くと、彼は決まって「なぁに。俺は世界中を旅して回る、しがない冒険者ですよ」
と言っていたらしいことから、現在の冒険者と呼ばれる人間の祖でもある。また、このことから彼は「冒険
王」と呼ばれることもある。
カリオン1世とレイガンにより、長い安定期を迎えたアリア王国であったが、巨大すぎる国の平和が長く
続くのは難しい。
スターランド地方の領主、「マリオ2世」が「百星同盟」をつくり反乱を起こした。この反乱をを今では
「流星の動乱」という。
百星同盟の規模は、まさにアリア王国領の約半分を占め、これから200年間の戦争が続いた。
この戦争の勝者がどちら、と簡単に特定するのは難しい。
アリア王国は滅亡しなかったし、百星同盟もしかりである。
カリオン1世を曾祖父に持つアリア女王「セルディア」の提唱により二派は和解した。
アリア王国は土地の半分を失ったものの、百星同盟の政治に多少の干渉を得る権利を得、また幾ばくかの
金や銀などを百星同盟から徴収することに成功した。
百星連合は大陸の半分を得たが、自分たちの政治に干渉されることや、そこからくる内部抗争などで混乱
した。
アリア王国は、魔物や悪魔、自然災害を除けば基本的に安全な王国と再びなった。
一方、百星連合は名前の通りに百を越えるとも越えないとも言われる小国家群となる。
その盟主は「セドル帝国」といい、魔術の力に特化した王国である。
その他の百に別れる国々は、それぞれ異文化を気づき、同盟国同士で小さな小競り合いを続けている。
■西方大陸
黒い肌と短髪、黒い瞳の種族の人間が多く住み、他にはビーストが多く住んでいる。
大陸自体は大きくも小さくもないが、大きな国家が存在せず、広大な平原や湖、山地などの大自然に恵ま
れている。そのためか、精霊を信仰する者も多い。
また、精霊だけでなく神を信仰する者が多く、法術を学ぶ者が多くいる。ただし、神人は自分達人間と変
わらない、平等な存在であるという教えが広まっており、魔術は普及していないようだ。
また、大陸の最北にドワーフの大国「サルデン・ゲル・ホルテン」があり、高度な製鉄技術を誇っている。
中心にあるシリス平原には、普通定住地を持つことをしないビースト達の国、「ゼファー」があり、そこ
では、狼や猫以外に犬や熊などの多様なビースト種を見ることができた。
ただ、サルデン・ゲル・ホルテンを除いて文化の面ではあまり進歩していない。
かつて中央大陸に侵略しようとした「ウィリム海の大戦」以降、大きな戦乱が起こっていないことがその
原因のひとつであるかもしれない。
この地には中央大陸ほど魔物や悪魔の存在が多くないようで、そちらと戦う必要もないとういのもある。
とにかく、西方大陸は平和であるが故に、停滞を迎えている領域でもある。
■東方大陸
東方大陸は三大陸の中で最も小さい大陸である。
我々が出向いたところ、その文化は我々とは大きく異なるようだ。
人間は小柄であり、黒や茶の毛髪や目を持つ種族のみが存在し、エルフやドワーフなどの、我々の大陸に
いる異種族がほとんど存在しないようであった。
代わりに「オニ」と呼ばれる角の生えた種族や、「シキガミ」と呼ばれる小精霊などが多く存在した。
中心国に「真帝」と呼ばれる最高の王をおき、各地に「国主」と呼ばれる王を派遣統治させているようで
あった。
また、魔法の体系も我々のものとは多少異なるようであった。
中心の「キョウ」と呼ばれる国の神殿の最奥には眠れる聖女・アヤメが封印されている。
まだまだよくわかっていない点の多くある大陸であるが、これからも調査を続けたいと思う。
■ドラゴン
この世界の各地には「ドラゴン」と呼ばれる生物がいる。
彼らはこの世界で最も強き肉体を持つ。
その牙で噛みつかれれば、その爪で引き裂かれれば、その尾で叩きつけられれば、常人ならひとたまりも
ない。
その口からは多様な属性を持つブレスを吐き、それを直に浴びれば命はない。
また、「エルダー・ドラゴン」と呼ばれる、長い年月を生きるドラゴンは深い知識を持ち人語をも解する。
そんな彼らは、もともと創世記時代に神に作られたものであるという。
神は人間だけでなく、別の可能性として彼らを作ったのだと。
そのため、ドラゴンを神人と同様に信仰する者もいる。
実際、ドラゴンが人間に恵みを与えたり、危機を救ったという伝説は各地に残っている。
だが、逆に彼らが人間を襲い、村を壊滅させたという話しもまたある。
ドラゴンは雲をも貫く山の頂や、人に知られぬ湖の奥底、どこまでも深い洞窟の最奥などに住まうため、
普通の人間が出会うことはない。
よって、なかなか真実を確かめるすべもない。
実をいうと、私はドラゴンに一度であったことがあるが、彼は私に一言として語りもせず、また襲ってく
ることもなかったため、事実を確かめることができなかった。
ただ、考えたことがある。
彼らは常に人々を監視しており、この世に生きるにふさわしくないと感じた時、神の代わりに人間を滅ぼ
すために、神に作られた生物なのではないかと。
■冒険者
レイガンより始まり、今では何でも屋のような役割をもつのが冒険者である。
冒険者になるものは自らの生活の為、知識・技術を高めるため、ただの余興など、さまざまな理由からな
る。
世界各地を回り、金をもらう代わりに仕事をこなす。
その仕事も老婆の指輪探しからドラゴン退治までと多岐にわたる。
また、一言に冒険者と言っても、武器の扱いに長けた戦士や魔術を使う魔術師などさまざまいる。
その存在は厄介者でもあり、希望であるとも言える。
十分金さえ払えばどんな仕事を引き受けてくれるため、中流階級の人間や商人などには喜ばれるが、
自分達の仕事が減ると傭兵や騎士達は彼らを疎み、仕事を頼むための金のない貧しい者達は彼らを無意味だ
と考える。
また、金さえ貰えれば人をも殺す冒険者がいるというのも事実である。
だが、なかにはレイガンのようにちょっとした物と引き替えに頼まれてくれる冒険者もいる。
このような冒険者がいるからこそ、彼らは今の世界の希望とも言えるのだ。
私は、冒険者とは常に信念を持ち紳士でいてくれることを望んでいる。
レイガンの如き心意気をいつまでも忘れずにいてくれることを強く望むのである。
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