作品ギャラリ−
バキボキタ
さん
特別編
バキボキタさん作品の続編
ポンプ周りです

ここもまたすごいですね


コメントはご本人さんからのメールから引用させていただきました
m(__)m



M/B面からみて裏面になります。
左下の黒っぽい箱が2次冷却水ポンプ室(超小型水
槽)です。完全密封型の水槽です。


少しアップしたところ ポンプ室から手前上に伸びているのが,
ラジエターへ行く配管です。
細いビニールパイプが2本突き出ているのが
給水,排水の時に使用するパイプです。



2次冷却水ポンプ室を外へ出したところ。
 2次冷却水ポンプ室のあった所の右の白い断熱材の箱が
1次冷却水のポンプ室です。
ポンプ室は1次,2次とも全く同じものを使用 
シリコンチューブから出ている黒い線材は、
温度計のセンサーとポンプの100Vコード 水槽そのものは
アクリルで自作 ギリギリの大きさに作っています。
(冷却水の量を減らして電源ON時の温度応答スピードを上げるため、
現状は気温25℃でCPU温度 電源ONから30秒で0℃
 1分30秒でー13℃ です。
ポンプはプティオを使用
 インペラの寿命が短いようなので蓋はネジどめ すぐ交換できます。



外にだしたところ
 水槽の中にポンプがあるのがわかりますか?蓋の左奥の銅パイプ
が2次熱交換器からの戻りの口です。



2次冷却水ポンプ室を外へ出したあとのケース内。
 アルミの四角いのが2次熱交換器
ここにペルチェ18枚が入っています。
L字のパイプが2次熱交換器からの配管でこれが
先ほどの2次冷却水ポンプ室につながります。

   ========  ラジエター <============ 
||                                   
||                                   
   ====> 2次熱交換器 ==> 2次冷却水ポンプ室 ===

こんな流れになります。


白い断熱材の箱がよくみえます。中に1次冷却水ポンプ室が入っています。
その向こう側に四角いアルミの2次熱交換器がよくみえます。


2次熱交換器の配管の様子
上から降りてきているビニールパイプがラジエターからの配管です。
で、2次熱交換器の下方から熱交換器の中に入り
 上方より冷却水が出て行き2次冷却水ポンプ室に入っていきます。

ポンプとは,関係ないですが、左横にブリッジダイオードがみえます。
ペルチェ電源用です。


さてここから少し書き物です
バキボキタさんが語る製作秘話です
なかなか参考になるところですね


このシステム製作においての設計意図

《1》 ペルチェの故障率をいかに抑えるかについて

一般に電子部品の故障は、初期故障,偶発的故障,経年劣化(磨耗)的故障
の3つにわけられます。初期故障,偶発的故障はユーザー側ではどうしようもありま
せん。
これらの故障については設計的には防ぎようがありません。交換しかありません。
故障が発生するまでは発見しようがないからです。
しかし、不良品を取り除いていけば、最終的には通常の故障率に落ち着きますので、
それほど大きな問題にはなりません。
(マスプロでは、最大級の問題ですが、ここではあくまで個人レベルの製作ですの
で)

 で問題は3番目の経年劣化(磨耗)的故障です。
これは、設計的に防ぐ(発生率を押さえる)ことが可能な故障です。
例えば半導体の代表であるトランジスタの接合部温度と寿命の関係は、
50℃で寿命数十万時間のトランジスターがあるとすると、70℃で寿命数万時間、
90℃寿命数千時間、120℃にいたっては寿命数時間、というように20℃前後で
桁がちがってきます。いかに使用時の温度が重要かがわかります。
また受動電子部品の代表であるカーボン抵抗についてみると

定格電力で動作させた時の故障率を1とすると、
定格電力の90%で使用の時=0.4
定格電力の60%で使用の時=で0.2となります。
このように一般的に電子部品は、その動作温度,電圧,電流に対して指数関数的に故障率が変化します。

上のことから、故障率をいかに下げるかは、言いかえればいかに使用温度を下げるか いかに最大定格から余裕をもつかにかかってきます。
つまり一般的に言われるディレーティングの問題です。
要はいかにディレーティングをとるか、です。
通常は最大定格の50%以下、信頼性を重視する場合は、
33%以下が常識(これはマスプロの場合ですが)の線だとおもいます。

具体的な例でいうと、
設計目標を達成するためには、トランジスターを最大定格付近の動作状態
にせざるをえないという場合、ディレーティングをとるためには、
1つは1ランク以上大きなトランジスターに変更する方法、
もう1つはそのトランジスターを複数個パラ接続(たとえば3個ぱら)という方法
があります。
後者の方法ですと一見故障率が上がるようにおもわれますが、複数個部
品が増えることによる故障率アップよりも、ディレーティングをとることによる故障
率低下のほうが遥かにおおきいのです。
よってトータルの故障率は大幅に低下します。
(もちろん最初の方法がベストですが)

わたしはペルチェの専門家でもないし、専門知識もありませんが、
(半導体は一時、使う立場、作る立場の両方の専門家になったことはあります)
これもまず一般的な電子部品といっていいと思いますので、ペルチェの寿命(故障
率)についても、ディレーティングをいかにとるかにかかってくるはずです。

上で述べたことと、うわさ(よくこわれる)を考慮すると、最大定格からいって印加
電圧は、どう高くとっても10Vが限度でしょうか。信頼性を重視するならば、6V
以下にすべきです。で、この動作条件でどのように設計目標を達成するかです。
目標は今回の場合、冷却能力については、
室温25℃、CPU電力60Wにてー20℃でした。
ペルチェのみでのシステムの場合、温度差を考えると、複数段は必須です。
また吸熱量60Wでは複数パラ動作も絶対に必要になります。
(今使用しているペルチェよりランクのでかいものが手に入れば別ですが)
ディレーティングを考慮すると必然的にこうならざるを得ないのです。
またディレーティングをより多くとるためには、ペルチェの吸熱効率すなわち

吸熱量/ペルチェ消費電力

をできるだけ大きくとる動作点を選択する必要があります。
すなわちペルチェの吸熱量が同じでも放熱面の温度をより下げる必要があるのです
また最終放熱器が大きければ大きいほうが当然ながらより有利です。
このシステムのペルチェ構成は、ま、これだけではないですが、
一応上に述べた要素なんかも考慮して決定しています。
まったくの独断と経験からの持論ですが。

ちなみに,実際の使用状態はというと、
常用使用している時(常用モード)の各パラメータは、(室温22℃前後にて)

(K7V−T+TB850)

(1)無理しない常用OCモード   ペルチェ電力80W(1A)
                    ペルチェ1素子あたり 約 3.5v

   Vc=1.75V、990MHz(110*9.0) 《推定CPU消費電力40〜45w》
   12cmFAN駆動電圧=5.5V
   3dMark2000のGame1,Game2の無限ループにて

      CPU温度=約4℃       2次水温=約27℃
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

        
(2)ちょっと無理してる常用OCモード ペルチェ電力280W(2.1A)
ペルチェ1素子あたり
約 5.6v

   1.95V、1100MHz(110*10.0) 《推定CPU消費電力60〜65w》
   12cmFAN駆動電圧=5.5V
3dMark2000のGame1,Game2の無限ループにて

      CPU温度=約−7.0℃     2次水温=約35℃
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

*本来ディレーティング及び冷却効率のみを考慮すれば、FANの駆動電圧あげたほうが有利ですが最終放熱器に余裕があるぶん、静音化のほうにふりわけています。

上のようにペルチェの動作電圧、動作温度とも全く無理をかけていません。
(CPUの1.1Gの1.95Vのほうがよほど無理がかかっています。)
効率とディレーティング、言い換えれば冷却効率と故障率ダウンと静音化を追求すると、最終放熱器が今回自作したものを使用すれば、最終的に、このようなペルチェ構成とペルチェ動作レベルに落ち着きます。

もしペルチェを12枚程度にへらしても、今のシステムであれば、上の冷却レベル程
度なら問題なく達成できます。

実際実験では、12枚仕様のシステムで

気温27℃ ペルチェ電圧11.5V(電流4.9A)、CPU電力60W、FAN
12vにて

         CPU温度=−15℃ 
        〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

しかしこんな仕様でペルチェを使用すると、システムとしてはるかに故障率は跳ね上がるはずです。


**ベンチモードでも ペルチェ1素子あたり約9.8Vです。
   ちなみに、このモードは、実用になりません。
   なぜなら、システムの廃熱は、それほど問題ではないのですが
   部屋の廃熱が大問題だからです。部屋は、6畳の大きさですが
   あっというまにサウナ状態になります。エアコンも歯が立ちません。
   窓を一杯にあけて強制換気(扇風機)が一番ましですが、そこまで
   して常用しようとは、思いませんので、うるさいし。
   ベンチとる時間だけでも結構辛いし苦労します。
   要するにベンチのみしか使い道がないです。
   別の言い方をすれば新しいCPUを手にいれないかぎり
   使い道のないモードです。でもベンチは大好きです。




《2》ペルチェ電源について 
(以後”電源”は全てペルチェ電源を指す)


このシステムではペルチェ素子を23枚も使用しています。最初の
予定では、一次6枚、二次18枚計24枚でした。

これだけの枚数になると電源の容量が大きな問題となります。
仮にペルチェ素子に最大4Aの電流を流した場合一枚あたりの消費電力は、
約35W〜40Wになり、24枚ではじつに840W〜960Wにもなります。
また電流値も全てをパラ接続とすると96Aという非現実的な値となります。
10V100A(1Kw)クラスの電源が必要となります。

こんな仕様では、電源内臓どころか、電源を外部に設置したとしても、
配線だけとってみても苦労しそうです。
(例えば無酸素銅シリコンコード〈値段はむちゃくちゃたかいです。〉を使うとか。
普通の線材では片手で握れるほどの束になりそうです。)

通常大電力を効率良く伝送する方法として高電圧−低電流で伝送する方法があります。
高圧送電線がその代表例です。

そこで、この考え方をこのシステムにも応用しました。
ペルチェに供給する電力を高電圧−低電流で供給するのです。
つまりペルチェ素子を直列接続にしてペルチェ電圧を見かけ上高電圧に変更するのです。

電圧を100V前後に設定するとペルチェの最大消費電力時でも電流は10A以下で済む事になります。
電圧的にもAC100Vを直接DC化したもの(110V−130V)が使えそうです。

電力を与える相手がペルチェ素子ですので、安定化する必要もありません。
(少なくとも100V変動の少ない日本ではペルチェ電源に安定化電源を使用するのは過剰スペックです。)

電圧を実験的に連続可変したい場合でもスライダックを使用すれば容易に可変できます。
全てに矛盾がありません。

この方法が実際に採用できるならば、ブリッジダイオード1つと
平滑用電解コンデンサーだけでペルチェ電源が可能です。
【平滑用電解コンデンサーをいれないとペルチェの動作がパルスドライブ的になり
吸熱効率が悪くなります。(吸熱量ではありません、あくまで吸熱効率です。)】
しかしこの方法は実績もなく、問題点がないか熟慮する必要があります。
AC100V直DC化ペルチェ電源で考えられる問題点としては、

(1)ノイズの影響
   ・PC本体への妨害
   ・外部への不要輻射の増加

(2)ペルチェ電圧高圧化の影響

(3)ペルチェ素子直列接続による不安定性

   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

まず(1)のPC本体への妨害ですがこれは実際に導入して確かめるしかありません。
現実には特に問題は発生していません。

つぎに外部への不要輻射です。
これはペルチェ電源の有無で不要輻射の増減を測定する必要がありますが、現実的には測定不可能です。
測定設備だけで豪邸がたちます。
レンタルにしても、うちの(近畿地区)近くでは生駒山に設備がありますが、レンタ
ルするだけでPC機一台買えます。
個人レベルではどうしようもありません。

で現実的な方法として室内アンテナをつけたテレビで妨害の有無を調べる方法があります。
このやり方で見る限り妨害はでていなかった(変化なかった)ので特に問題はないと判断しました。

もし増加していればビーズ入りのACコードに変更すればいいと思います。

(2)については絶縁さえしっかりしていれば特に問題はないと考えてます。

問題なのは(3)の項目です。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

内部抵抗の温度特性の係数が正(温度が上がると内部抵抗値が増加する)の素子は基本的に、定電流(的)ドライブ(複数個直列接続で電圧を加える)では条件によっては不安定になります。

このことをペルチェ素子で具体的に説明します。
全く同一の特性をもつペルチェ素子10枚を直列接続し高圧DC(例えば100V)を印加することとします。
またペルチェ素子の放熱面には全く同じ特性の放熱器をそれぞれに10個とりつけます。

この状態でペルチェ素子に一定の電流が流れたとします。ペルチェ素子1枚あたりの消費電力に応じて発熱、熱は放熱器によって放熱されます。
そして発熱量と放熱量が一致した時点で温度的にも安定します。
この状態では10枚のペルチェ素子は、全て同じ条件で動作しており特に問題になることはありません。

さてここで、たまたま外的要因(例えば風の乱れ)で1つの放熱器の温度が少し上昇したとします。
するとその放熱器のペルチェ素子は温度上昇によって当然内部抵抗が増加します。

それによってそのペルチェ素子に加わる電圧が高くなり(直列接続されているため)、消費電力が増大します。

その他のペルチェ素子は逆に印加される電圧が下がり消費電力も減少します。
この消費電力が変化することによって温度が一旦上昇したペルチェ素子はますます温度が上昇、その他のペルチェ素子はますます温度が低下することになります。

これはその温度上昇による増加発熱量(電力増加による増加発熱量)と、放熱器温度上昇による増加放熱量とが一致するまで温度上昇が持続します。
つまりペルチェ素子の温度係数の値と放熱器の性能の2つの要素で決まる一定の温度まで上昇してしまいます。

このように1つのペルチェ素子にパワーが集中してしまう現象が発生します。
この現象がペルチェ素子直列接続による不安定性ということです。

この現象が起こり一定の温度まで上昇した時点で、もしペルチェ素子に印加されている電圧が最大定格を超えるような値になれば、そのペルチェ素子は破壊されます。

(パワートランジスターの熱暴走はこれとは係数の正負、接続がシリーズとパラとの
違いなど、正反対ですが発生現象的には同じ構造で発現します。)
(おもちゃのDCモーターを2個直列につないで電圧をうまく調整して加えますと、お
もしろい現象がおこります。一度試すと上の”不安定性”が実感できると思います)
普通一般的に行われているペルチェ素子の定電圧ドライブ(並列接続)では絶対に発生しない現象です。

それではこの現象を抑えるにはどうすればいいかです。対策としては

・直列接続するそれぞれのペルチェ素子の発熱面(できれば吸熱面も)
 の熱結合を強くする。つまり同一バッファ面に配置する。
 発熱面の熱的独立は最も危険である。
・同一規格品のみ使用する。別規格品を混在させると危険。
・できれば水冷による熱的平準化をおこなう。
 (水冷でペルチェの吸熱を行う場合は必然的にそうなる。)
・ペルチェ素子の最大定格に対して余裕をもった動作をさせる。
 (例えばペルチェ電圧は10V以上加えない)


** 以上の対策が実施できない場合は絶対にペルチェ直列接続高圧ドライブ仕様は
導入すべきではありません。非常に危険です。


今回製作したシステムでは上の条件をすべて満たしているため問題の発生する確率はほとんどないと判断しており、実際にも問題は起こっていません。
この冷却システムの特徴は冷却水が2系統あることですが、その採用で上記の条件を完全に満たすことができます。
(2次冷却ペルチェの発熱面と吸熱面ともに冷却水による熱的平準化が行われる。)


さてそれでは実際のペルチェ電源を説明します。
構成部品は

ブリッジダイオード(600V25A)*1
平滑用電解コンデンサー(250V100μFスイッチング用)*10

これだけです。ものすごく簡単です。

ブリッジダイオードと平滑用電解コンデンサーの間では
かなりのパルス電流(コンデンサー充電電流)が瞬間的に流れます。
よってラッシュ電流制限用に数オームの抵抗を入れるのが理想です。
(現在は入れていません。理由は入れるのを忘れていただけ、現実にはとくに問題ありませんでした。でも入れるのが理想です。)

平滑用電解コンデンサーはかなり大きなリップル電流が流れ、
またそのため当然コンデンサーの発熱も大きく温度も高くなります。
できるだけスイッチング電源用のものを使用し、冷却に注意をはらいます。
ブリッジダイオードは放熱器必須です。
コンデンサー同様冷却に注意をはらいます。


実際のペルチェ素子との接続は
900W時
(1次ペルチェ*4+北橋ペルチェ*1+2次ペルチェ*7)=110V
(2次ペルチェ*11)=110V

280W時
(ペルチェ23枚すべて直列)=130V

80W時
(ペルチェ23枚すべて直列)+40Ω=130V
【40Ω(10Wセメント抵抗*10)は電流制限用抵抗、かなり発熱するためFANの横のケースの鉄板上に設置】

*この電源は安定化していないため負荷によって当然変動します。
110V、130Vなど電圧が一定でないのはそのため。
しかし負荷が一旦決定されると後はAC100Vの変動に比例します。
今の日本では特に問題ないと思います。
ペルチェの場合、温度変動の要因としては気温の方が遥かに影響を受けると思いますので。

この組み合わせを2個のスイッチ(前面パネル)でコントロールしています。


バキボキタさんの設計思想がひしひしと
伝わってきますね
安全かつ常用安定するための苦労が随所に見受けられます
すごく参考になりますね
今後の説明に期待しています 
バキボキタさんへの質問があればBBSの方にお願いします
私もわかる限りのことはフォローいたします

ご感想ご意見疑問など有りましたらお気軽にメールでも下さい

作品ギャラリー1のページへ

作品ギャラリー2のページへ

作品ギャラリー3のページへ

皆さんの作品ギャラリーへ
皆さんの作品をご紹介ください。


作成日2000年11月26日 更新日2000年12月5日

メール

トップページ