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改めて二つの島を眺めると、
 実に形の良い美しい姿を
しています。
 何と立派な島だろう

 神
々しい島だ

 それに比
べてここの海は何と汚ないんだろう

 これじゃあ島
が気の毒だ。
 何とかしなきゃあならん。
 庄屋さんは、
 腕組みをして考え込みました。
 が、
 何を思ったか、
 急に家の中へ駆け込んでいきま
した。
 そして再び飛び出してきた庄屋さんの手には扇子が
一本ありました。
 「隣の長浜という所の海はすばらしくきれいなそうな。
ちょつと残念なことだが、
 あの美しい島のことを考え
ると、
 これも仕方のないことだ。
 長浜のきれいな海を
教えてやろう。」
 庄屋さんはそう決心するといっぱいに開いた扇子で、
沖に浮かぶ二つの島を長浜の海の方へ押しやりながら
叫ぴつづけました。
 「長浜の海はきれいだゾ
l
 長浜の海はきれいだぞ
l





・」
 あくる朝のこと。
目を覚ました長浜の人
々は、
 上を下への大騒ぎ



| 目の前に島が二つ浮かんでいるではありませんか。








 人
々は、二つの島を大島、
 小島と呼び、
 大島には天神