あんたらの名前、なんて言うんだ?




「はいっ…じゃなくて。ああ、ユーロ。改めてありがとう」

ディクスが言った。

と、すぐ後ろにいた女が杖でディクスを殴り飛ばした。

「人が下手にでてりゃ、すぐこれなんだからっ!私を無視するんじゃないっっ!」

ディクスは白目をむいてぶっ倒れた。

「うわ、怖ぁ…」

俺は呟いた。

それが聞こえたんたのかどうだか知らんが、女はこっちを睨んできた。

「それよりあんたっ!いきなり人巻き込んどいて和気あいあいとしてんじゃねぇわよっ!」

「がら悪いね、あんた」

「誰がよっ!」

俺と女が怒鳴りあってると、

「あんたに決まってるじゃない。馬鹿?」

サニーがひょっこりと顔を出してきた。

「魔物っ!?」

女は後ずさった。

「なによぅ。そんな露骨に嫌がることないのに…ねぇ、ユーロ」

「いや、普通だろ」

「なんでよっ!?」

「だって魔物だし」

「ひっどーいっ。泣いちゃうぞっ!」

「泣けよ」

「えーん、えーん」

俺は無視することにした。

「なんで、き、君は、魔物なんか、と、一緒に、いるん、だ?」

20後半くらいの男が話しかけてきた。驚きのあまり声が上ずっているようだ。

「あなたは、もしかしてモンスターマスター(魔物使い)ですか…?」

エルフの少女が問い掛けてきた。

答えは、

「違うね。俺はそんなんじゃない」

である。

すると、今度はグラスランナーが、

「じゃぁ、なんで魔物といるのさ?」

とか。

「拾った。ただそんだけだ」

「拾ったなら捨てればいいのに」

「何故一緒にいるのです?」

「それは」

「私たちが愛し合ってるからに決まってるじゃないっ」

またサニーが口を出してきた。

「あ、愛…っ!?」

「この馬鹿の言うことは気にすんな」

俺はサニーをグーで小突いた。

「いったーい!ひどーい、ユーロゥ。あたしは本気なのに…」

やっぱ無視しよ。

「仲間ともはぐれてるみたいだったし、仲間の所までは連れてってやろうと思ったのさ」

「でも…どこか知ってるんですか?」

男が話しかけてきた。

「いや、知らねぇ。けど、いつか見つかるさ」

「あ、そ」

女が呟いた。

俺は話題を変えることにした。

「あんたらの名前、なんて言うんだ?こっちとしちゃ不便で仕方ないんだが」

女、とか男とかじゃやっぱな。(葵にとっても不便だし(^-^;)

「普通、自分から名乗るもんじゃない?」

「知ってるだろ?ディクスとの会話聴いてたし、そっちこそ紹介しなきゃ失礼じゃないか?」

「ふん、偉そうに」

女は毒づいた。

「まぁまぁ、セシリア。別に名前ぐらい名乗ったっていいじゃないか」

男が女−セシリアというらしいな−をたしなめ、こっちをみる。

「僕はファースト。ファースト・マンカインド。よろしく」

ファーストは握手を求めてきたので、とりあえずそれに答えた。

「セシリアばっか喋っててオイラ、なんか、あんま喋ってないなぁ…

オイラはチックル・ポップ・フォンっ!よろしくっ、ユーロっ!

グラスランナーの38歳だっ!やぁ、今日は天気だね」

どうやらいままで、なかなか喋る機会があまりなかったのか、

チックルはどうでもいい様なことまでいっている。

「私はミスティ・ラランです。よろしく」

「…そういやエルフって見た目で何歳かって、よくわかんないけど、

あんたは何歳?」

俺はなんとなくそんなことを聴いてみた。

「私は16歳で見た目そのまんまですよ。」

「ふぅん、珍しいな」

「そうですね」

ミスティはまるで人事のようなかんじでうなづいた。

「…あんたは?」

俺はセシリアにたずねた。

「セシリアよ」

セシリアは一言、そう言った。

「まぁいいさ。ああ、そうだ」

俺はまだ横でごちゃごちゃ怒鳴ってるサニーを掴んだ。

「これはサニーだ」

「これってなによぅっ」

「はは、よろしく。サニー」

「よろしくね。サニー」

「そういや、オイラも妖精なんだよな…」

ファーストやミスティやチックルが言った。



と、

「う…うぅぅぅんんん…」

ディクスが起きた。