さらば、チックル
チックルって誰?
「え、と……形を変える危険な化け物、としか……」
ミスティが答えた。
「そうか……」
ユーロが呟く。
「君はどれくらい知ってるんだい?」
僕はユーロに聞いてみた。
「もちろん全部よねぇ。ユーロ」
サニーが得意げに言った。
そうなんだっ。すごいなぁ……
「んなわけねーだろ? あほか?」
………はえ?
「あぁ… 俺が知ってるのは依頼人から聞いたこと少しだけだよ」
「えー? そおなのぉ?」
「なんだ、役に立たないねぇ……」
チックルが呟いた。
「こら」
僕はちっくるを小突いた。
「いて」
チックルは頭を押さえた。
「ま、とにかく教えてよ。あんたの知ってるってことを」
セシリアが聞いた。
杖でビシッと指してるあたり偉そうだなぁ……
「まぁ、そのつもりだけどな」
ユーロがぽりぽりと頭を掻いた。
「お願いします」
ミスティが言う。
「うんうん。まぁ、話したまえよ」
ファーストもいった。偉そうに。
「ごめん……」
僕は謝った。
「気にしてねぇよ」
「ねぇ、それで化け物てどんな奴なの?」
「じゃあ、始めるぞ。そいつはな……」
「「うんうん」」
わくわく……
「フィゼアの樹だ」
「「はぁ?」」
僕らは聞き返した。
今度はさすがに誰もこけなかった……
しかし……
「…うりゃぁ!」
チックルの声が聞こえ……
「はぎゃ!」
「きゃっ」
「ちょっ!」
「だぁ!?」
づぶれだ……
お、重い……!!
ぐるじいぃっ!!
「やっぱこれだね……」
あだまのぶえの方で……チックルの……ごえがきこえだ……
「……お、もぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉい!」
「きゃぁっ」
「ほえ?」
「んぐっ……」
「ぶぎゃげぇぇぇぇ!!」
お…も…いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ……!!
……………いや…軽くなった。
「はぁっ、はぁっ」
どうやら、セシリアが上のミスティとチックルを跳ね飛ばしたようだ。
ミスティはなんかあっちの方で痛がっている。
チックルの方は……見事な着地だ。
「ねぇ……」
「何やってんだ? お前ら」
サニーとユーロが僕らに向かっていった。
「いやぁ……うーん……」
なんと答えていいやら……
と、
「ふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっ……」
セシリアがブキミな笑い声を上げた。
「セ、セシリア?」
名前を呼んでみたが返事はない。
「やだなぁ……ねぇちゃん。そんなコワイ顔してるとしわが増えるよ?」
「#&☆ε……」
「セシリア……?」
ミスティも呼びかける。
「D+JOa‘RLfhR)gj$T76l;$RN$J”$(4」
訳のわからない言葉がセシリアの口から発せられる。
「ねぇ、あれなんて言ってんの?」
「なんだサニー、わかんねーのか」
「うん」
「汝雷の精霊の様を模し、仇なるものを焼き尽くせ……だ」
頼むから、そんなに落ちついとかんでくれ、ユーロ&サニー……
「ラぁイぃトぉニぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃング!!」
「ぴぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
爆発するような乾いた音がしてチックルの体が……スゴイ状態になった。
さらば、チックル……
「セシリア…あんな魔法知ってたの……」
「昔どっかで読んだことが合ったから今思い出したのよ」
「昔って…?」
「10…何年前だったかしら?」
「「………」」
………
すごい……
「見事だチックル……その体を張ったボケ、しかと見届けたぞ……」
ファーストが感涙してる。
ユーロが呟いた。
「……お前ら何やってんだ? ホント」
あ、呆れてる。
あたりまえか……
そこでセシリアがユーロに言った。
「まぁまぁ、とにかく続きはなしなさいよ」
「えらく落ち着いてるね……君」
「なぁんか言ったぁ? ユーロ」
「いえ…」
「まぁいいか。話を続けるぞ」